宇宙に向かってフルスイング

昔から宇宙人について考える時、僕らの生きてるような3次元の生き物じゃなくて、次元を超えた存在がいたら面白いなあと思ってたのだけど、今日読んだ『度胸星』という漫画は、まさにそういう存在が出てくる話だった。

(以下、ネタバレを含みます)

本作では、火星に存在する、地球の(少なくとも人間の認知してる)次元よりもいくつか上の次元の存在である「テセラック」が、人間の理解してる空間的な概念を一切無視した挙動により、圧倒的な物理的破壊を行い、宇宙飛行士たちを絶望に追い込む。
その描写が非常に斬新で、まさに僕ら3次元の存在が文字通り「異次元の」存在に遭遇した時に感じるであろう、全くの理解のできなさや壮絶な違和感をリアルに描いており、案の定その気味の悪さにゾクゾクとはまり込んだ。
(少なくとも僕の知る)どんなSFにも描かれていないこういった異次元の存在を描いたこの漫画が、4巻で打ち切りになってしまっていることは、人類にとって大きな損失だろうと言いたくなるくらい悲しいけど、その少ない巻数でも僕の縮こまった視野を粉々にするには、十分なインパクトを持っていた。僕らが日々生きているこの世界は、僕が普段考えているよりも信じられないくらいに広くて長くて深い。空間的に3次元に収まっていて、時間的にもがんばっても100年くらいに収まっている存在としては仕方のないことだとしても、少しでもあがいて、もっと上の・外の・遠くの・先の世界を見たいなと強く思った。

(ちなみに、僕の所属しているUbie では、

one small step for man, one giant leap for mankind

という言葉にインスパイアされて、「Giant Leap」というバリューを置いている。「常に規格外のゴールを目指そう」という意味合いなのだけど、本当にこういう心がけが大事だなと改めて思った。)

『度胸星』の中で一番印象的だったセリフは、
最終盤、テセラックに破壊の限りを尽くされた状態で、宇宙飛行士の筑前の言った、

アレを理解しまくって地球へ帰れりゃあ・・・・・・
俺達はヒーローなんてもんじゃねぇ。
一世一代の勝負処はこの時をおいてほかにねぇ。

というものだった。

果てしなく広いこの宇宙において、途方もなく小さな存在である人間だけど、その人生の中で巡り合うことのできるごくごく稀有なチャンスに自分の全力を捧げることで、ようやく世界に小さな変化をもたらせる可能性が生まれる。
そのためには、常にチャンスを探すこと、チャンスで発揮できるための力を研ぎ澄ますこと、チャンスが来たら全力でフルスイングをすること、が大事だなあと思う。
明日からもそういう生き方をしていきたい。

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山田芳裕『度胸星


この記事は元々別のメディアに書いた内容を移管したものです

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