愛でつながるリファラル採用 - Ubieの採用の注力戦略と実践の秘訣 -

リファラル採用という言葉をご存知でしょうか。
自社の社員に知人を紹介・推薦してもらう採用手法のことで、社員紹介採用といった文字通りの呼ばれ方をすることもあります。

僕が在籍しているUbieという会社は、AI問診というサービスを開発している医療×AIのスタートアップ企業です。
この会社で僕は事業開発という仕事を専門にしているんですが、Ubieではあえて専任の人事担当者を置かず、社員全員(もちろん僕も)がひとりひとり採用活動に携わっています
その中で僕たちがとりわけ重視し、メインの採用チャネルとして位置づけているのが、件のリファラル採用という手法です。

今回はこのリファラル採用について、「愛でつながるリファラル採用」と題して書いてみたいと思います。

前半ではUbieでのリファラル採用の成果やメリットについて、後半ではリファラル採用の成否を左右するポイントについて、Ubieでの具体的な取り組みやその成果をふまえて整理してみます。

「リファラル採用、どうやったら成果が出せるんだろう?」
といった疑問や不安を抱えている方々に、ぜひ参考にしてもらえればと思います。

※気持ちが入りすぎてかなり長めの文章になってしまったので、読むのが大変な人は↓に同じ内容を動画にしているので、こちらを見てみてください!


まずはUbieの採用実績です。以下のグラフはUbie創業の2017年から今年までの社員数の推移を示したものです。

2017年末の時点では4人しかいなかった社員が、毎年およそ倍ずつ増えていって、今では総勢85人、年明けにはいよいよ100人を超える見込みです。
去年末時点で33人だったことを考えると、この1年でずいぶん増えたものだなとあらためてしみじみ思います。

では、採用チャネルの内訳はどうだったのか。
以下の表は、今年の8〜10月の3ヶ月間について、ビジネス系の職種を対象に採用実績を集計したものです。
採用候補者のうち、何人ぐらいがどの採用ステップまで進んだかを採用チャネルごとにまとめています。


見てのとおり、最終的に入社決定まで至っているのは「社員紹介」、つまりリファラルを通して応募してきてくれた方だけです。
リファラル経由の候補者は10人中3人が採用まで至っているのに対し、他のチャネル経由の応募者で入社決定まで至ったケースはゼロ。
実に80人以上もの方がリファラル以外のチャネルを通じて応募してくださったにもかかわらず、最終的には1人も入社には至らなかったというのはなかなか強烈な結果です。

もともとUbieはリファラル採用を重視してきた企業ではあるんですが、こうした最近の実績をふまえていっそう「リファラルしか勝たん……!」との想いを強くし、あらためて施策の強化に取り組んでいます(「XXしか勝たん」という表現は最近知りました)。

たとえば、Ubieの中でサービス開発や事業開発、組織開発などを担っている「Devチーム」という部署では、リファラル経由で入社した人の割合は75%に上ります。
また、全社での離職者は創業から現時点までで3名とかなり少数に抑えられており、リファラルで採用した人材の定着しやすさをうかがわせる数字となっています。

そもそもリファラル採用のメリットは、社員と気心の通じた有望な相手に的を絞ってアプローチできることです。
そのため、会社とのマッチ度が比較的高い応募者が集まり、最終的な入社決定率を高められるうえ、入社後に定着して活躍してもらえる可能性もかなり大きくなります。
ミスマッチという企業と個人双方にとっての不幸を最小限に抑えられるという点で、リファラル採用はかなり優れた採用手法だと感じています。

リファラル採用が中心で社員の元々のつながりが強いことも影響してか、プライベートでもよく遊んでいます。 
さて、リファラル採用のメリットについてここまで書いてきましたが、ここからはリファラルを成功させるうえで欠かせない要素として僕が考えている二つの「愛」について書いていきたいと思います。

一つは「同僚への愛」、もう一つは「知人への愛」です。

まず、一つ目の同僚への愛について。これは、
自分のチームだけでなく、採用に困っている他のチームのためにリファラルをすること
と定義してみました。


そもそもリファラル採用は、エンジニア界隈でよく使われてきた採用手法です。
そのため、元々なじみのあるエンジニアの人たちには積極的に取り入れられている一方で、セールス系やバックオフィス系の人たちの間ではそこまで浸透していないのが現状です。
会社としてリファラルに取り組んでいるところも、まだそれほど多くありません。
リファラルを全社的に推し進めようと思ったら、こうしたハードルを押し下げていく必要があります。

また、一つのチームの中だけで知人の紹介を完全にまかなおうとすると、なかなか応募者の分母が大きくならないという問題もあります。
エンジニアの採用はエンジニアで、セールスはセールスでといったタテ割りを敷いている限り、集められる人数はどうしても限られてきます。

しかしこうした問題は、チームの壁をこえてリファラルの紹介先を拡大することで、ある程度解決可能です。
たとえば「エンジニア候補の人を経理の人が紹介する」といった横断的なやりとりを積極的に行なっていければ、採用候補者の母数はかなり増やしていくことができます。



今年の秋頃、Ubieではセールスの人手不足に悩んでいました。
このとき助け舟を出してくれたのが、SRE(Site Reliabilty Engineering)担当のエンジニアの@kamina_zzzで、彼はなんと11月の1ヶ月間だけで20人もの知人に当たって面談してくれました。 営業日ほぼ毎日面談していたぐらいの数なので、狂気的な熱量です。 これぐらいの強い気持ちでチームや職種を越えた助け合いができると、リファラル採用の数的な限界はかなり解消されます。 では、こうした助け合いを実現するためにはどんなことができるか。 おすすめしたいのは、職種ごとの採用説明会を社員向けに開催することです。 やはりチームが違うと、そのチームで今どれぐらい人が足りないのか、あるいはどんなペルソナを持った人が必要なのかといった点はなかなかお互いわかりません。 Ubieではそういった溝を埋めることにかなり時間をかけていて、「今このチームではこういう人が足りないです!」「具体的にこんな経験をした人がヒットしやすいです!」といったポイントを、チームを越えて頻繁かつ地道に共有しあっています。

そもそも、一番会社のことをよく知っていて、会社に想いがあって、会社にどんな人がフィットするのかをわかっているのは社員自身です。
そういう意味で、社員というのは全員最高の採用エージェントです。
なので、その一人一人がちゃんと全社の採用状況やニーズを把握できている状況を作れれば、チームを横断した全社的なリファラル採用はかなりやりやすくなります。


次に二つ目の「愛」、すなわち知人への愛についてです。
これは何かといえば、 「自社のためだけではなく、リファラルする相手自身の人生のためにも価値が最大となる採用に努めること」 です。 これに関しては、まさに僕自身が最近採用を担当させてもらった知人の例があります。 その知人は旦那さんの転勤についていく形で地方に移っていたのですが、「なかなか東京で携わっていたような刺激的な仕事に出会えず悶々としている」といった話をかねてからオンライン飲み会で聞いていました。 それから間もなく、弊社のほうでタイミングよくフルリモートの職種を新しく募集することが決まったとき、真っ先に思い浮かんだのが例の知人でした。 これはもう彼女の人生上の課題、悩みの解決につながるんじゃないかと思い立ち、早速話をさせてもらうと、トントン拍子で採用が決定、今では一緒に楽しく働いています。 このように、その人の人生にフィットした採用を心がけるというのは非常に大事だと思っています。
事の性質上、ややもすれば友達を商売の道具にするような形になってしまうのがリファラル採用です。 なので、自社のことだけを考えて知人・友人にアプローチすると、どうしても押し売りっぽくなってしまいます。 その人の人生を預かっているんだということを強く意識して、知人と自社両方の観点を気を配ることが、リファラル採用を進めるうえで欠かせないと考えています。 リファラル採用はあくまで知人・友人との人間関係、すでに出来上がった人と人との関わりの上に成り立つものです。 そのため、日頃から知人とのラフな交流の機会を積極的に設けることは、いい形でリファラル採用を進めていくうえで大事なポイントになるでしょう。
繰り返しになりますが、リファラル採用はメリットも多く、きわめて有効な採用手段です。 入社の決定率も高いし、離職率も低く抑えられます。 少なくともUbieではそういう実績が出せていて、今後も採用の主軸でありつづけるはずだと僕は見込んでいます。 その一方で、リファラル採用を効果的なものにしていくためには、相応の工夫が必要だというのが僕の実感です。 そして、その工夫の土台として、あまり語られないながらも欠かせないのが「愛」であるとも感じます。 もちろん数値の目標を追ったり、そのためのオペレーションを組んだりといったところも大事です。 ただ、普段は見落とされがちな同僚や知人への愛を意識することによって、より良いリファラル採用が実現できるんじゃないかなと思います。


参考:

Ubie Devチームの採用ページ

※この文章は、株式会社HERPさん主催の「Scrum-1グランプリ」で発表させていただいた内容を元にしています

Ubie Advent Calendar 2020の12/17分のコンテンツでもあります

森Twitter


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